
病院勤務は、看護師にとって非常にやりがいのある仕事です。
その一方で、心身ともに大きな負担を伴うのも事実。
夜勤の連続や突発的な対応、患者さんやご家族からの多様な要望に応える日々…。
ふと、「このままずっとこの生活を続けられるのだろうか」と感じたことがある方も
少なくないのではないでしょうか。(私はしょっちゅう思ってました)
私は、病棟勤務を経て訪問看護師へと転職しました。
その決断は簡単なものではありませんでしたが、
今では自分の人生にとって大きな転機だったと実感しています。
この記事では、病棟勤務と訪問看護の違いを、私自身の体験を交えながらお伝えしたいと思います。
病院勤務の現実
病棟勤務時代の私は、常に時間に追われていました。
朝の申し送りから始まり、バイタルチェック、点滴、処置、記録…
スケジュール通りに進めたいのに、急変対応や予期せぬ事態が発生するたびに予定は狂い、
いつも終業時間を大幅に過ぎてから退勤する日々。
消灯時間まで日勤が残っていることもザラでした。
夜勤はさらに過酷でした。
一晩中、患者さんの状態を見守りながら緊張の連続で、仮眠が取れる時間はわずか。
終わった後の疲労感は筆舌に尽くしがたいものでした。
そんな日常の中で、患者さんに向き合う時間が十分取れないことにジレンマを感じることも多かったです。
私は癌患者さんのいる病棟に勤めていました。
どんどん変化していく自分の体に不安を感じる患者さんは多く、看護師にその不安な気持ちを聞いてもらいたい患者さんもたくさんいます。
本当に、ただ話すだけでもその不安な気持ちは大きく変わったと、今ではわかります。
「不安ですよね」とゆっくり聞いて受け止めることが大切です。
患者さんの話をもっとじっくり聞きたいと思っても、他の業務に追われてしまう…
「少しお待ちくださいね」その繰り返しでした。
訪問看護で得た心のゆとり
訪問看護に転職してから、私の働き方は大きく変わりました。
一日の訪問スケジュールは基本的に自分で立てるため、計画的に動くことができます。
そして何より、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う時間が持てるのが大きな魅力です。
その方を訪問している時間は、その方の時間です。
(もちろんナースコールで他の方に呼ばれる事はありません)
ある高齢の方を定期的に訪問している際、普段の健康管理だけでなく、その方が趣味としている園芸の話をじっくり伺ったことがあります。そのとき、「看護師さんが来てくれると安心するし、話し相手になってくれるのが嬉しい」と言っていただけました。
訪問時間内なら、必要なケアを行なった後はご本人にとって優先度の高いケアを行うことができます。
病棟勤務ではなかなか得られなかった、患者さんとの深いコミュニケーションが、訪問看護では日常的に可能なのです。
これは本当にやりがいがありますよ。
また、勤務時間外の時間がしっかり確保できるのも訪問看護の魅力の一つです。
残業はほとんどないので、子どもたちとの時間や自分自身のリフレッシュの時間を持つことができ、心にも体にも余裕が生まれました。
そして移動時間も大事な一人時間です。
仕事中に一人になって落ち着いて考えることができると、こんなにも頭も気持ちも整理できるのかと。
私にとってはこれはかなり嬉しい発見でした。
病棟勤務と訪問看護の比較
項目 | 病棟勤務 | 訪問看護 |
---|---|---|
勤務スケジュール | シフト制(夜勤あり) | 基本的に日勤のみ |
働く環境 | チームでの連携が重要 | 個別対応が中心 |
患者との接点 | 短時間で効率的に対応 | じっくり時間をかけて対応 |
仕事の負荷 | 多忙で突発的な事態が多い | 計画的で時間の管理がしやすい |
訪問看護という選択肢
「今の働き方を見直したい」「もっと患者さんに寄り添った看護がしたい」と思っている看護師さんにとって、訪問看護は魅力的な選択肢の一つです。
もちろん、訪問看護にも特有の課題はありますが、それを補って余りあるやりがいを感じられる場面がたくさんあります。
もし今の職場に働きにくさを感じているなら、訪問看護について具体的な情報を集めたり、訪問看護ステーションでの見学や体験をしてみることをおすすめします。
一歩踏み出すことで、新しい働き方と心のゆとりを手に入れるきっかけになるかもしれません。
この記事が、忙しい病棟勤務に疲れた看護師さんや在宅介護の現場で頑張る方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。「訪問看護」という新しい選択肢を考えるきっかけになれば嬉しいです!
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